フキダシウィンドウプラグイン 【ツクールMV プラグイン解説】

オンラインゲームでは、キャラクターアイコンの上にフキダシが表示され、会話を行うような表現を行うRPGが多数あります。

近年では、オンラインゲームの世界観をモチーフとするようなツクール製のゲームも多数登場しています。『ネットゲームの中』という世界観を表現する方法の1つとして、ネットゲーム特有のフキダシ会話を活用するという選択肢があります。

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▲ライトノベル原作のソードアート・オンラインなど、商業作品でもオンラインゲームを世界観にした作品が人気を博している

ツクールMVで『フキダシ』を活用した会話を実装するためには、トリアコンタンさんが公開されている「フキダシウィンドウプラグイン」を活用すると簡単に実装することができます。

フキダシウィンドウプラグインとは?

フキダシウィンドウプラグインはRPGツクールMVの創作支援情報やツクールMV向けのプラグイン配布を行っている、『トリアコンタン』さんが作成したプラグインです。

参照:Delusional Field(トリアコンタンさんのブログ)

キャラクターグラフィックの近くに会話を表示させることができるため、MMORPG系統のオンラインゲームの世界観を再現する場合やどうぶつの森のようなコミュニケーション会話重視の作品を作成する場合に役立ちます。

■プラグイン公開ページ
フキダシウィンドウプラグイン(Delusional Field)
フキダシウィンドウプラグイン(RGC)

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▲台詞を吹き出し化できるので、一般的なRPGと大きな印象の違いを与えられる

フキダシウィンドウプラグインを導入に必要なもの

フキダシウィンドウプラグインを導入するために必要な物は以下の通りです。

  • プラグイン本体(上記公開ページ先でDLできるMessageWindowPopup.js)

フキダシウィンドウプラグインは、イベントコマンド「文章の表示」を拡張するようなプラグインのため、メッセージ表示に使用するグラフィックは顔グラフィックを使用します。そのため、プラグイン本体以外に必要なものはありません。

フキダシウィンドウプラグインの使い方

フキダシウィンドウのプラグインは、有効化するだけで利用できます。プラグインを有効にしていると、イベントコマンド『文章の表示』で作成した文章がすべてキャラクターの上部で表示されるようになります。

フキダシウィンドウプラグインを有効化しよう

プラグインを利用するためには、ダウンロードしたプラグインデータをゲームプロジェクト内の「plugins」に入れる必要があります。

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「plugins」にプラグインデータを移動すると、RPGツクールMVのツール→プラグインの管理より、吹き出しウィンドウプラグインが設定できるようになります。

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プラグイン設定で初期設定を行い、OKを押せば設定完了です。

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フキダシウィンドウプラグインの初期設定を行う

フキダシウィンドウプラグインを初めて使う場合は、ゲームデザインによって初期設定をする必要がある場合があります。初期設定を行うことで、適切な会話表示が行えるようになります。初期設定はプラグイン管理画面の『MessageWindowPopup』をクリックすることで設定可能です。

設定できる項目は以下の通りです。

フォントサイズ-表示される文字の大きさを半角数字で設定します。

余白-台詞・顔グラフィック外側の幅を設定

自動設定-スタート直後から吹き出しウィンドウを有効化するか設定します。ONと記述すると有効、OFFと記述すると無効になります。

フェイス倍率-吹き出しに表示される顔グラフィックの大きさを倍率で設定します

ウィンドウ連携-選択肢の表示・数値入力のウィンドウ表記が吹き出しに連動するような構成に変化します。

行間-1行1行の合間の長さを設定します。

■参考:余白設定例
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■参考:ウィンドウ連携例
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イベントに合わせたフキダシウィンドウプラグインの活用

作品内すべての会話を吹き出しにする場合は、プラグイン管理画面の初期設定だけで事足りると思います。ですが、実際のゲームでは『一部の場面でしか吹き出しは使わない』というような形で使用したい場合もあるかと思います。また、1回のイベントで色々なキャラクターの上にフキダシが出るような演出を行う場合は、初期設定以外にも特殊な処理が必要です。

こういった演出を行いたい場合は、プラグインによって独自に制定された記述を行う必要があります。プラグインの独自記述を実行することのできるイベントコマンド『プラグインコマンド』に次の記述をしてあげることで、フキダシ化をコントロールしてあげることができます。

一部キャラクターの・一時的にフキダシ化する

プラグイン設定で「自動設定」をONにしてしまうと、すべての会話がフキダシ設定になってしまいます。

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▲自動設定をONにすると、作品内すべてのイベントが吹き出し化されてしまう

ナレーション描写で一般的なウィンドウ表示をしたい場合など、吹き出し会話を基軸とした作品で、一時的に通常のウィンドウ表示を行う場合は、独自記述の『MWP_INVALID』を使うことで再現することが可能です。

* MWP_INVALID or
* フキダシウィンドウ無効化
*  ウィンドウの表示方法を通常に戻します。
*
* 例:MWP_INVALID
*   フキダシウィンドウ無効化

ピクチャのボタン化プラグイン(Delusional Field)より引用

イベントコマンドより、プラグインで設定された独自処理を実行することができる『プラグインコマンド』に、吹き出しウィンドウを無効化する命令の『MWP_INVALID』を記述してあげます。

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『MWP_INVALID』を記述してあげると、そのイベント処理が終わるまで一時的に吹き出し設定がOFFになります。その結果、通常のウィンドウ表示へと演出を変えることができます。

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ただし、この設定を行った場合は、イベント処理が終了するまですべての処理が通常のウィンドウになってしまいます。そのため、プラグインコマンドで『MWP_INVALID』を実行した後全ての会話が通常のウィンドウ表示になってしまいます。

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再び吹き出し処理にしたい場合は、一時的に停止した吹き出し設定をONにしてあげる必要があります。吹き出し設定を行う処理は独自記述の『MWP_VALID』を使います。

* MWP_VALID [キャラクターID] or
* フキダシウィンドウ有効化 [キャラクターID]
*  メッセージウィンドウを指定したキャラクターIDの頭上に表示するようにします。
*  プレイヤー : -1 このイベント : 0 指定したIDのイベント : 1 ~
*
* 例:MWP_VALID 0
*   フキダシウィンドウ有効化 3

ピクチャのボタン化プラグイン(Delusional Field)より引用

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プラグインで設定された独自処理を実行することができる『プラグインコマンド』に、吹き出しウィンドウを有効化する命令の『MWP_VALID』を入れてあげることで、イベントが終わる前にも、再度会話の吹き出し化することができます。

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プラグイン設定で自動設定をOFFにしている場合も『MWP_VALID』コマンドを使ってあげると特定のイベントのみ吹き出し化してあげることもできます。

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▲自動設定OFFだと最初は無効(ウィンドウ状態)→MWP_VALIDで吹き出しONなので、MWP_VALIDの処理をした後の台詞から吹き出しになる

吹き出しの会話が少ないゲームを予定しているのであれば、自動設定をOFFにし、フキダシを使うときのみ『MWP_VALID』を使って吹き出し化する。

吹き出しが多く、通常のウィンドウ表示をあまり使わないのであれば自動設定をONにし、通常のウィンドウ表示を使う場合のみ、『MWP_INVALID』を使って吹き出し処理を一時的に停止させるというような使い方をすると良いでしょう。

吹き出しで会話を成立させる方法

上記では、吹き出しとナレーションを両方活用する場合の処理をご紹介しました。しかし、一般的なオンラインゲームの世界では、キャラクター同士の会話がすべて吹き出しになっていることが多いと思います。

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ですが、吹き出しウィンドウを初期設定のまま使用してしまうと、上記のように『同じキャラ』が吹き出しで喋っているように見えてしまいます。

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▲両方兵士が話しているように見えてしまう。

吹き出しウィンドウでは、イベント主の上に吹き出しが表示されるような設定になっています。

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今回の場合は、『兵士に話しかけたら会話が出る』というイメージで作成したため、兵士のキャラに決定ボタンが押された時に会話が出るようなトリガーになっています。それゆえ、何も設定していないと、このイベント(兵士)が吹き出し元になってしまいます。

複数のキャラが会話しているように見せるためには、フキダシ機能を有効化するプラグイン独自の記述『MWP_VALID』にキャラクターIDを追記した記述を活用します。

* MWP_VALID [キャラクターID] or
* フキダシウィンドウ有効化 [キャラクターID]
*  メッセージウィンドウを指定したキャラクターIDの頭上に表示するようにします。
*  プレイヤー : -1 このイベント : 0 指定したIDのイベント : 1 ~
*
* 例:MWP_VALID 0
*   フキダシウィンドウ有効化 3

ピクチャのボタン化プラグイン(Delusional Field)より引用

プラグインで設定された独自処理を実行することができる『プラグインコマンド』に、『MWP_VALID▲[キャラクターID]』(▲は半角スペース)という記述を入力し、「[キャラクターID]」と記載されている部分をイベントのIDなどに設定してあげることで、吹き出しもとのキャラクターを変えることができます。

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今回はプレイヤーキャラクター(操作しているキャラ)が「私もそう思う!」としゃべるようにするため、「私もそう思う!」という会話のみ、プレイヤーキャラクターの上部に吹き出しが出る設定をしていきたいと思います。

*  メッセージウィンドウを指定したキャラクターIDの頭上に表示するようにします。
*  プレイヤー : -1 このイベント : 0 指定したIDのイベント : 1 ~
*

ピクチャのボタン化プラグイン(Delusional Field)より引用

プレイヤーキャラクターを示す「[キャラクターID]」は「-1」ですので、『MWP_VALID▲-1』(▲は半角スペース)を記述してあげます。

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プラグインコマンドで、『次の吹き出し主は「-1(プレイヤー)」だよ』という命令を『MWP_VALID▲-1』(▲は半角スペース)で行ってあげたため、会話の吹き出し元がプレイヤーに変化しました。複数のキャラクターで交互にフキダシを表示させたい場合はプラグイン独自の記述『MWP_VALID▲[キャラクターID]』(▲は半角スペース)でキャラクターID部分を変えて設定してあげることで、色々なキャラクターがしゃべっているような表現を作成することができます。

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▲「キャラクターID部分」はイベントIDも設定可能。例えば、このイベントもとのキャラに喋らせたい場合は、イベントID002の「2」を入れればよい

フキダシウィンドウプラグインでオークション会場風イベントを作る

基本的なプラグイン機能の使い方・設定方法を理解したところで、今回は「オークション会場風」のテストイベントを作ってみたいと思います。

オークション会場イベントイメージ

次のようなイベント流れを想定して作成してみます。

1.妖精がオークション会場で売られているところに主人公が到着。
2.司会が商品としての妖精を紹介し、お客さんが反応を見せる。
3.無口キャラの主人公到着。心の声で代弁。
4.オークションが開始。お客さんが金額を提示していく。

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イベント作成解説

プラグインの初期設定

プラグイン初期設定は以下のような設定で行っています。

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今回は司会の吹き出し台詞からイベントが開始するため、自動設定をONにしています。

キャラクターを配置する

今回のイベントでは

・プレイヤー
・妖精
・司会
・観客×3

の合計6人が登場します。
まずはキャラを配置していきます。

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今回は司会の会話から物語が始まるため、司会キャラを表示しているイベントにイベント設定をしていきます。このマップに入ったら自動的にイベントが開始するようにするため、トリガーを「自動処理」にしてイベントを作成していきます。

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その他のキャラクターはキャラクターがいるように見せるだけですので、イベントは設定せず、グラフィックだけ表示した状態のイベントで配置していきます。

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この時、イベントIDをメモしていきます。妖精の場合は左上にID:001と記載されているので、イベントIDは「1」です。

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今回は上記のようなIDになっています。

実行イベントを作成する

実行イベントを作成していきます。

基本的には『プラグインコマンドで「MWP_VALID▲[キャラクターID]」(▲は半角スペース)で会話主を設定して会話表示を行う』という処理を繰り返していきます。

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妖精が喋る場合は、妖精のイベントID「1」を[キャラクターID]に代入し、プラグインコマンドで「MWP_VALID 1」を実行してから、メッセージ表示で台詞を記入していきます。

ただし、最初の会話はイベント元である司会が話しているので、「MWP_VALID」の実行は不要です。

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また、主人公は心の声=通常のウィンドウを使っていくので、主人公の会話の直前のみ吹き出し機能を一時的に無効化する「MWP_INVALID」をプラグインコマンドで実行していきます。

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そのため、吹き出し元になるキャラクターに応じて、コマンド「文章の表示」の前に

・プレイヤー→プラグインコマンド「MWP_INVALID」
・妖精(ID:1)→プラグインコマンド「MWP_VALID 1」
・司会(ID:2)→プラグインコマンド「MWP_VALID 2」(初回を除く)
・観客1(ID:3)→プラグインコマンド「MWP_VALID 3」
・観客2(ID:4)→プラグインコマンド「MWP_VALID 4」
・観客3(ID:5)→プラグインコマンド「MWP_VALID 5」

を設定していくようなイメージで作成していきます。

最終的な作成イベントは以下の通りです。

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まとめ

今回はオンラインゲームなどで見られる「吹き出しを使った会話」を簡単に再現できる「フキダシウィンドウプラグイン」の使い方を紹介しました。

初期設定と「MWP_VALID」「MWP_INVALID」という2つのコマンドを利用するだけで簡単に表現できる機能ゆえ、初心者でも比較的導入のしやすさを持ちながら、ゲームのイメージを大きく変化させることができるプラグインです。

オンラインゲームの世界観だけではなく、オークションのようなあちこちで声が飛び交うようなシーン、遠くで叫んでいるのを表現するようなイベントなどでも活用できるプラグインだと思います。

通常のイベント処理「吹き出しアイコンの表示」でも感情系のアイコンを使った演出は可能ですが、もう一歩深い表現をしたい時などに導入を検討すると良いプラグインでしょう。

*本記事は『MessageWindowPopup.js Version1.2.0を元に作成しております』
*作成画像はRPGツクールMVを利用し作成しております。
 RPGツクールMV→(c)2015 KADOKAWA CORPORATION./YOJI OJIMA

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コメント

  1. 匿名 より:

    大変参考になりました
    ありがとうございます

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