パッシブスキルを実装するプラグイン | ツクールMV プラグイン導入解説

先日、別記事にて装備に設定されたスキルを習得するプラグインを紹介した所、たくさんの反響を頂きました。ツクールではプラグインを活用することで、通常のレベルアップ時のスキル取得以外にもスキルが取得できるような仕組みはたくさんあります。設定次第で商業並みのレベルになるようなシステムを導入できるプラグインも多いので、色々と調べてみると、ゲーム制作の幅が広がるのではないかと思っています。

さて、そんなスキル取得の幅が広がったのはいいけれども、そんなにスキルの数が思いつかない!という人もいるのではないでしょうか。ツクールでは、デフォルトで攻撃や回復、異常状態付与や一時的な能力アップのスキルが簡単に作れますが、効果別と属性別ぐらいしか差別化ができません。そのため、スキルの傾向も似たり寄ったりに感じてしまったりしてしまう、ネタが思いつかないといったことになる可能性もあります。

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そんなツクラーさんのために、今回はFF5を始めとした様々な商業RPGでも利用される「基本的な能力を常に上昇するようなスキル」を作成できる「パッシブスキルを実装するプラグイン」を紹介していきたいと思います。

パッシブスキルを実装するプラグインとは?

RPGでは「パッシブスキル」「パッシブ」と呼ばれる、取得していると自動的に効果が発動してくれるようなスキルがあります。そのスキルを取得していることで最大HP+α、攻撃力+α、剣が装備可能になるなど。持つだけでステータスや基礎能力を支援してくれるスキルがあります。

そんなパッシブスキルを導入できる国内産プラグインは複数公開されています。今回は以前紹介した装備に設定されたスキルを習得するプラグインとより互換性を保てるよう、同じ制作者さんである道楽さんが制作されているプラグインを紹介していきます。

■プラグイン公開ページ
パッシブスキルを実装するプラグインを公開しました(DOURAKU SOFT)

基本的な能力値を上げるスキルや装備アイテムの幅を広げるようなパッシブスキルをツクールでも再現できるため、スキルの幅を広げることができます。なお、今回は道楽さんのプラグインを紹介しますが、国内では他にも同様の機能を持つプラグインが公開されていますので、プラグイン導入に慣れている方は各プラグインの細かい仕様・他プラグインとの互換性を試してどの制作者さんのプラグインを入れるか検討することをおすすめします。

■参考 公開されているパッシブスキル系のプラグイン一例
パッシブスキルを実装するプラグイン(道楽さん|DOURAKU SOFT)
パッシブスキル(やなさん|ネ実ツクスレ @Wiki)
パッシブスキル(TOMYさん|KAMESOFT)
パッシヴスキル(tomoakyさん|ひきも記は閉鎖しました。)

導入に必要なもの

パッシブスキルを実装するプラグインを利用するにあたり、
必要な外部データなどは以下の通りです。

  • プラグイン本体(上記公開ページでDLできるdsPassiveSkill.js)

本プラグインはプラグインを各プロジェクトの指定フォルダに入れ、
ツクール側で有効化・設定を行うだけで利用できます。

画像データや別プラグインといった外部のデータは不要です。

このプラグインを導入するとどんなことができるの?

このプラグインを導入することで、以下のような効果が狙えます。

  • 制作できるスキルの幅が広がる
  • スキルによる基礎能力向上の仕組みを導入できる
  • スキル取得系のシステムがより活かせる

ツクールデフォルトでは回復魔法・補助魔法・攻撃魔法の
3種類を効果量や属性違いで用意するだけになるので、
キャラクターが多い場合などは差別化しにくい可能性も出てきます。

パッシブスキルを導入することで、キャラクターが多い場合や
レベルアップ以外でスキル取得を行う仕組み導入時の
スキル制作の幅を広げることができます。

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また、一般的なRPGでも、能力アップができるパッシブスキルが
取得できる魔法の本をレアアイテムで用意するなどという
活用の幅もあります。基本システム~やりこみまで
いろいろな形への貢献に繋がるシステムが導入できます。

パッシブスキルを実装するプラグインの使い方

それでは、実際にパッシブスキル導入の手順を
基本的なことから導入事例まで紹介していきます。

パッシブスキルを実装するプラグインを有効化しよう

1.制作中のゲームプロジェクトフォルダを開く

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2.プラグインを「plugins」フォルダに入れる
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3.ツクールMV画面に戻り、『ツール』→『プラグイン管理』を押します。
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4.プラグイン画面管理の空白部分し、基本設定画面より今回使用する「dsPassiveSkill」を選び、OKを押します。
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5.プラグイン管理画面に下記のような「dsPassiveSkill」が追加されれば有効化完了です。
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パッシブスキルを実装するプラグインの設定を行う

パッシブスキルを実装するプラグインで実際にパッシブスキルを
作成する場合、パッシブスキルとして扱うスキルのメモ欄に
プラグインで設定された記述に従って、その効果を記述していきます。

この項目ではパッシブスキルを実装するプラグインで設定できる項目や、
実際に各パッシブスキルを具体的にどう設定していくか、
いくつかの具体例とともに紹介していきます。

パッシブスキルでできることとスキル側の設定

今回紹介しているパッシブスキルを実装するプラグインでは、
以下のような効果を持つパッシブスキルを作成できます。

・装備できる武器タイプを追加(例:剣装備)
・装備できる防具タイプを追加(例:盾装備)
・通常能力値アップ(例:攻撃力を50上げる、HP10%UPなど)
・特徴で上げられる追加能力値アップ(MP消費減、狙われ率UPなど)
・一定HP以下で通常能力や追加能力値アップ
・特定武器タイプ装備時に能力値上昇(剣装備時に効果20%追加など)
・先制攻撃&不意打ち率の変化

その効果を持つパッシブスキルとする予定のスキルのメモ欄に
それぞれ決められた記述方式で記述を行うことで、
パッシブスキルにすることが可能です。

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▲スキルのメモ欄

メモ欄に記述する記述方法については、プラグインをテキストソフトで開き、
『スキルに設定するメモタグ』を確認することで、それぞれどのように
記述を行う必要があるかを確認できます。

詳しくは、『パッシブスキルの実例』項目で事例を紹介していきます。

パッシブスキルのオプション設定

パッシブスキルは能力値を常時上昇させるような
プラグインですので、戦闘時に使用するようなことはありません。
道楽さんのプラグインでは、戦闘時にパッシブスキルを
表示しないような設定が可能です。

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プラグインの管理より、今回導入したパッシブスキルのプラグインの
設定画面を開きます。
パラメータの「Show Battle」をクリックし、
戦闘時にもパッシブスキルを表示する場合は「true」、
戦闘時に表示不要の場合は「false」を記入しましょう。

パッシブスキルの実例

では、実際にどのようなパッシブスキルを作ることができるのか。
RPGで活用できそうなパッシブスキル事例とその構築をしていきます。

基礎能力を上げるスキル 『最大MP30%アップ』

取得しているとMPが常時30%アップするスキル作成です。

『スキルに設定するメモタグ』の中から、
特定の追加能力値をアップ(XParameter Boost)の記述を
スキルのメモ欄に設定していきます。

* ・特定の通常能力値をアップ(Parameter Boost)
* <passivePBST[能力値番号]:[上昇量(%)]>
* [能力値番号] – 上昇させる通常能力値の番号を1桁の数値で設定する。(数字)
* 0 – HP, 1 – MP, 2 – 攻撃力, 3 – 防御力
* 4 – 魔法力, 5 – 魔法防御, 6 – 敏捷性, 7 – 運
* [上昇量(%)] – 能力値の上昇量。
* %なしなら直値、ありなら倍率となる。(数字)
* 装備なし状態の能力値に対しての倍率がかかる。
パッシブスキルを実装するプラグイン(DOURAKU SOFT)より引用

今回は最大MPを30%アップさせるため、<passivePBST[能力値番号]:[上昇量(%)]>の
[能力値番号]と[上昇量(%)]を数値に置き換えていきます。

[能力値番号]は今回MPを指定する必要があります。上昇させる通常能力値の番号を見ると、『1-MP』となっています。[能力値番号]を1に置き換えれば、MPの能力値を変化させるという意味ですので、[能力値番号]を1に置き換えます。

上昇値は今回30%を設定していきます。[上昇量(%)]を数値で置き換え、
かつ半角の%を記述すると倍率上昇(何%アップの設定)が行えます。

[能力値番号]は1、[上昇量(%)]は30%ですので、
<passivePBST1:30%> とメモ欄に記入しましょう。

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これで、このスキルを取得するとパッシブスキルとして
MP30%UPするスキルが作成できます。
スキルを取得できるアイテムを用意したり、
過去に紹介した『装備に設定されたスキルを習得するプラグイン』で
魔法剣や杖といった装備装着時に取得できるような仕組みを導入したりすると
パッシブスキルによる基礎能力の向上をプレイヤー誘導できます。

装備拡張スキル『杖装備』

通常、装備できる武器のタイプはアクターや職業などの
特徴欄で定めていきます。

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▲通常は特徴から武器タイプ装備や防具タイプ装備で定めたもののみ装備できる

ですが、パッシブスキルを活用することで
通常は装備できないような武器タイプも装備が
できるようになります。

* ・装備できる武器の種類を追加(Equip Weapon)
* <passiveEWPN[武器タイプ]> * [武器タイプ] – 武器タイプの番号を2桁の数値で設定する。(数字)
パッシブスキルを実装するプラグイン(DOURAKU SOFT)より引用

<passiveEWPN[武器タイプ]>という記述の
武器タイプというところを、装備させたい武器タイプの数値で
設定することで作成することができます。

武器タイプの番号は、データベースの「武器タイプ」に書かれた
数値を設定していきます。

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ツクールMV Ver1.3で追加されたデータベースサンプル(ファンタジー)を
使用の場合、杖は「06」で設定されています。

<passiveEWPN[武器タイプ]>の[武器タイプ]を
06に置き換えて、スキルのメモ欄に
<passiveEWPN06>と記述しましょう。

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この設定により、この『杖装備』というスキルを覚えると、
キャラクターや職業で設定されていない武器タイプ・杖の武器も
装備ができるようなパッシブスキルを作成できます。

一定のHP以下で能力が上がる 『逆境』

少し変わったようなスキルも作成してみましょう。
HPが半分以下(50%以下)になると、攻撃力が100上がる
『逆境』というスキルを作成してみます。

道楽さんのパッシブスキルプラグインには、
一定以下のHPで発動するパッシブスキルの記述も用意されています。

* ・一定のHP以下の場合のみ特定の通常能力値をアップ(Indomitable)
* <passiveINDM[能力値番号]:[HP残量率],[上昇量(%)]>
* [能力値番号] – 上昇させる通常能力値の番号を1桁の数値で設定する。(数字)
* 0 – HP, 1 – MP, 2 – 攻撃力, 3 – 防御力
* 4 – 魔法力, 5 – 魔法防御, 6 – 敏捷性, 7 – 運
* [HP残量率] – 効果が発揮されるHPの残量率を%で設定する。(数字)
* [上昇量(%)] – 能力値の上昇量。
* %なしなら直値、ありなら倍率となる。(数字)
* 装備なし状態の能力値に対しての倍率がかかる。
パッシブスキルを実装するプラグイン(DOURAKU SOFT)より引用

[能力値番号]は、今回攻撃力を上げるようなスキルにするので、
『2 – 攻撃力』より、数字の2に置き換えます。

[HP残量率]は、HPが何%残っていれば発動するのか?という設定です。
今回は半分(50%)を切ると発動できるような設定ですので、
数字の50に置き換えていきます。

[上昇量(%)]は上昇する値です。
今回はキャラクターの攻撃力にかかわらず、攻撃力が100固定で上昇する設定にします。
上昇量に数字を代入する時、半角の%を付けなければ固定数上昇させることができるので、
今回は%を入れず、数字の100だけを代入しましょう。

最終的な記述は<passiveINDM2:50,100> となります。

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複数の効果を持つ事例 『天才魔導士』

最後に、複数の効果を持つようなパッシブスキルを作っていきます。
最大MPが30%アップし、杖も装備できるようになる
『天才魔導士』という仮スキルを作ってみましょう。

やり方は簡単で、最大MPを上げる『<passivePBST1:30%>』と
杖が装備できる『<passiveEWPN06>』を
メモ欄に記述すれば良いだけです。

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複数の効果を持つようなスキルも作成できるので、
色々と活用してみましょう。

プラスワン! ユーザーにとってわかりやすい工夫をする

ここまで、パッシブスキルを実装するプラグインで再現できる
パッシブスキルの一例を紹介してきました。

今回解説した内容を元にプラグインデータを見て頂ければ、
他データも比較的簡単に作れるのではないかと思っております。
(わからない箇所などあれば、反映しますのでコメントくださいませ)

これで実質的にパッシブスキルの導入は完了になるのですが、
もう1点だけ、意識してもらえるとよりゲームの操作性が向上する
可能性があるポイントがあると思っています。

それが技の判別のしやすさです。

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上の画像をご覧ください。
パッシブスキルの能力値上昇毎にアイコンを設定したものです。

攻撃力を上げる支援系技の『一喝』とパッシブスキルの『攻撃力アップ』が
類似したアイコンでわかりにくくないでしょうか?

パッシブスキルの名称によっては、
通常の技と判別がつきにくく、プレイヤーにとって
通常技か、パッシブスキルかどうかがわかりにくく
見えてしまう可能性があります。

説明欄で書いてあるからいいじゃん!
と思われるかもしれませんが、スキルの数が多くなる場合などは
技一覧を見ただけでもわかるような判別をしてあげるようにしましょう。

対策に繋がりそうな一例もご紹介しておきます。

1.パッシブスキルだけのアイコンを用意する
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▲星のアイコン=パッシブスキルと認識させる事例

2.パッシブスキルとわかる記号文字を入れる
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▲『★名前★』のスキル=パッシブスキルと認識させることができる

こういうところまで設定してあげると、
例えばレベルアップでスキルを取得した時にも
瞬時にパッシブスキルか通常スキルかどうか判別できる
ようになります。

なお、記号文字を入れる時には、
機種依存文字を入れないように気をつけましょう。

参照:機種依存文字について | 農林水産省

パッシブスキルを実装するプラグインで困った時

パッシブスキル設定にあたり、困る可能性のある箇所などを
補足しておきます。

パッシブスキルがメニュー画面に表示されないのだけど……

パッシブスキルの『スキルタイプ』とキャラクター・職業の
特徴欄で設定する『スキルタイプ追加』は一致していますか?

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例えば、『スキルタイプ』を必殺技にして覚えさせたけど、
キャラクターが『必殺技』を使えないと、スキルは発動するものの、
魔法欄では見ることができません。

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▲スキルタイプ追加で魔法のみ追加しているため、パッシブスキルを取得している必殺技が見られない

上記のような場合は、パッシブスキルを『魔法』にするか、
魔法しか使えないキャラもパッシブスキル用に
『スキルタイプ追加:必殺技』を設定しておきましょう。

まとめ

今回はステータス向上や補助効果をもたらすパッシブスキルを取得できるプラグインを紹介してきました。

パッシブスキルはスキルの幅を加える事に加え、転職や特殊なスキル取得を
行えるプラグインを導入した時にも幅広く活用できます。
特に配布元の道楽さんのサイトでは、武器からのスキル所得や
ジョブチェンジといったスキル取得・育成の幅が広がるプラグインを
公開されているため、併用するとレベルの高いゲーム制作にも繋がります。

今回は道楽さんのパッシブスキルを紹介してきましたが、
色々なサイトさんでパッシブスキル導入プラグインは公開されていますので
使い勝手や他プラグインとの併用可能を確認して、
ぜひ導入を検討してみてくださいね。

*本記事は『dsPassiveSkill.js Version1.02』を元に作成しております』
*プラグインの利用は各自の責任のもとご利用下さい。(プラグイン導入で問題が起きた場合は責任を負えません。バックアップしてからテスト導入をしてご利用下さい。)
*作成画像はRPGツクールMVを利用し作成しております。
RPGツクールMV→(c)2015 KADOKAWA CORPORATION./YOJI OJIMA

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