第1話 迫る悪と初創作の罠 ~続けるための夢と現実~【津久学園のゲーム奮闘記】

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ミサト
むむ……大変なことになってしまった。

机に置かれた一枚の紙。その紙には、
赤字で『廃部勧告』の4文字が書かれている。

ミサト
リンカになんて言えばいいものか……。

津久学園、ゲーム製作部は創部以降、
最大の危機に迫られていた。

ミサト
よし、今日は帰っちゃおう。サボったことにでもして……。

とりあえず問題は明日へ先送り。
そう決意したミサトは、机に置かれた廃部勧告をしまい、
立ち上がろうとした。

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扉が開く音がした。

リンカ
ミサト部長っ、おはようございます。
ミサト
むむっ、リンカじゃないか。今日は早いな。
掃除当番じゃなかったっけ?
リンカ
ミサト部長と、一緒にゲームしたくて、
急いで終わらせてしまいました。すぐにお茶淹れますね。

手慣れた手付きでお茶を淹れ始めるリンカ。
それを見ているミサト。

津久学園ゲーム製作部のいつもの風景だ。
お茶を飲みながら談笑しつつ、下校時間までゲームを遊ぶ。

製作と言うのは名ばかりで、
ゲームを遊ぶための部活。

それが卒業した先輩たちから受け継がれてきた
この部活だった。

リンカ
そういえば知っていますか? なんだか最近、ゲーム製作部が襲撃を受ける事件が相次いでいるそうです。
ミサト
……。
リンカ
ゲーム製作部が廃部に追い込まれた学校もあるみたいですよ。
ミサト
り、リンカ……ちょっと大切な話があるんだ……。

廃部……。
いつか伝えなければいけないこと。
この言葉が出た今が、その時なのだろう……

リンカ
た、大切な話ですか?
ミサト
ああ。これからの学園生活に関わる大切な話だ……。
リンカ
放課後の密室に二人……生活が変わる秘密の話……。
それって、ドキドキっ。
ミサト
津久ゲーム製作部は……今年度……来年の春ではいぶ……

ドンガラガッシャン。
ミサトが全てを語る直前だった。

ゲバマン
このゲーム製作部は今日をもって廃部ゲバ~!

部室に重ねて置かれていたダンボールの山が崩れ、
床に置かれた大きな箱から、怪しい男が現れた。

リンカ
だ、だ、誰ですか!?
ゲバマン
ゲーバゲバ。俺は秘密結社・ウーマンキラーの幹部。
ゲバマンでゲバー。
リンカ
げ、ゲバマン!?
ゲバマン
ゲバー。世界に絶望を与えるため、夢と希望を抱き、
努力を重ねて作ったゲームを壊し続けているゲバ。
今日はお前らの部活ゲバー!
リンカ
じゃあ、あなたが噂の……。
ゲバマン
そうゲバ。さぁ、おとなしく明け渡すゲバ
ミサト
いいよ。勝手にどうぞ。
ゲバマン
げ、ゲバ? そこは何か、抵抗するところじゃないゲバか?
ミサト
この部活はもう、廃部が決まってるんだ。
君の好きにするといい。
リンカ
は、廃部が決まってる? どういうことですか、先輩!
ミサト
元々、引退した先輩達の代から、廃部勧告が
来てたみたいなんだ。それを無視してたみたいでね。
生徒会からさっき、正式な通告があったんだ。
リンカ
そ、そんな……。
ミサト
だから、君の好きにするといい。
ゲームも製作してないから、壊せるものもないし。
ゲーム製作部なのにゲームを作っていなかった、
ボク達がいけなかったのだから。
リンカ
い、今からでも活動実績を残せば……
ミサト
ボクもリンカも、ゲームを作る力も技術もない。
年度末まで半年も時間がないんだから……。
ゲバマン
半年もあれば、ゲーム制作できるゲバ。
リンカ
えっ?
ゲバマン
ツクールみたいなツールを使えば、
簡単にゲームを作れるゲバよ。
リンカ
ほ、本当ですか!
ミサト
で、でも、そんなツール高いし、操作も難しいんじゃ……。
ボク、パソコン苦手だよ。
ゲバマン
ツクールはRPGでよく使われる機能がコマンド化され、
プログラミング知識が無くても、RPGを制作できるゲバ。
値段は1万ちょっとゲバけどね……。
リンカ
先輩、それくらいなら部費でどうにかなるんじゃ
ミサト
う、うん。でも、ボクらに作れるだろうか……。
ゲバマン
何言ってるゲバー、廃部がかかっているゲバよ!
諦めたらそこで試合終了ゲバ。
リンカ
そうです、先輩。そこのヘンタイの言う通りです。
やってみましょうよ。
ミサト
……、そうだね。
ミサト
リンカと変態くんの言う通りだ。やってみるよ!
ゲバマン
そうとなれば、急いでツクールを注文するゲバ。
そして、ストーリーを作るゲバよ!
リンカ
わ、わかりました。先輩、私急いで注文してきます。
ミサト
なら、ボクはストーリーを考えてくるよ。
ありがとう、変態くん!

そう言いながら、部室を駆け出すリンカとミサト。
その姿を見つめるゲバマン。

ゲバマン
てか、いつの間にか変態呼ばわれだゲバ

少し悲しみを胸にする一方で、
不気味なほほ笑みをするゲバマン。

ゲバマン
まぁ、いいゲバ。あの小娘たち、希望でいっぱいゲバ。
奴らのゲーム制作が始まったところで、壊してやれば、
絶望でいっぱいゲバよ。ゲーバゲバー!

その時、まだ知りもしなかった。

様々な問題が起こること。
悪と正義の戦いに巻き込まれることになることを。

津久学園ゲーム製作部のゲーム制作はこうして幕を開けた。

一週間後・・・

ゲバマン
ゲバゲバ、そろそろあいつらのゲームシナリオも
完成している頃ゲバ。
奴らのシナリオ原稿のそばに卑猥なイラストを描き、
ストーリー作成を邪魔して絶望に陥れてやるゲバー!

破壊の衝動を胸に、部室の扉を開けるゲバマン。
しかし、ゲバマンの目に飛び込んできたのは、
想像したこともない原稿用紙の山だった。

ミサト
あっ、いらっしゃい、変態くん
ゲバマン
変態くんじゃないゲバ、なにゲバー、この紙の山は!
リンカ
変態さん、お茶どうぞ。
ゲバマン
お茶なんかどうでもいいゲバ。何枚積まれているゲバ!
ミサト
えっと、350枚ぐらいかな。
リンカ
すごいですよね!
これ、ミサト先輩が仕上げた、ゲームシナリオなんですよ。
ミサト
まだ半分も完成してないけどね。
ゲバマン
作り過ぎゲバー!
どこまで大作にするつもりゲバ!?
ミサト
えっ、それは、作るからにはFF7ぐらいの大作をと思って……
リンカ
やっぱり、ゲームやるならやりごたえあるのがいいですもんね!
ゲバマン
それはダメゲバ! お前達はゲーム制作初心者ゲバ。それに、お前達は廃部を阻止するために、まずは完成させなければいけないゲバよ
ミサト
大丈夫大丈夫。やる気はあるんだから。
ゲバマン
お前、パソコン操作苦手だと言ってたゲバー。
ミサト
そ、それは……明日から頑張る!
ゲバマン
そういうやつは、明日からも頑張らないゲバよ
リンカ
うーん、でも先輩。この変態さんが言うとおり、ちょっと量多いかもしれないですね。この原稿をパソコンに打つだけでも、かなりの時間がかかりそうです
ミサト
えっ、今のパソコンって、文字をスキャンしたら勝手に取り込んでくれるんじゃないの?
ゲバマン
そんな高性能な機器はこの部活にないゲバよ。
ミサト
ええっ!
じゃあこの文章打ち込むのに1年ぐらい掛かるじゃないか!
リンカ
せ、先輩……原稿用紙1枚入力に1日掛かるんですか……。
ゲバマン
ま、まぁ、タイピングはやっていくうちに上達するゲバ。
それよりも問題なのが、作品の規模ゲバ。
ミサト
作品の規模?
ゲバマン
お前達の『大作を創りたい!』という望みはわかるゲバ。
しかし、多くのゲーム制作者がその望みを叶え切れぬまま、
飽きや挫折、多忙といった海に飲まれていくゲバ
ミサト
そういえば、今年は海行けなかったね
リンカ
そうですね、先輩の水着見れなくて残念でした
ゲバマン
は、話を脱線させるなゲバー!
ミサト
ご、ごめんごめん。
ゲバマン
特にお前達は、完成させなければいけない期日が
決まってるゲバ。今は9月2週目。年度末まで5ヶ月半ゲバ。
完成させた後、成果物としてPRもしなければならないゲバ。
リンカ
そうですね、10月終わりには学園祭もありますし……。
ミサト
そういえば、今年はどんな部活の出し物があるのだろう。
ゲバマン
それゲバー!
ミサト
えっ……?
ゲバマン
お前達に今必要な物が、部活としての成果ゲバ。
学園祭でゲームを出せれば、成果を残せる絶好の機会ゲバ。
リンカ
確かに。うまく学園祭で出し物が出せれば、
来年には新入生が入ってくれるかもしれないですね。
ゲバマン
お前達はツクラー初心者で覚えることも多いゲバ。
まずはボスを倒しに行くだけの、簡単な短編を作って見るゲバ。
ミサト
えーっ、そんなのつまらないっ!
せっかく壮大なストーリーとキャラクターを作ったのに!
ゲバマン
口答えするなゲバー!
リンカ
でも先輩っ、120ページ目から出てきたかっこいい騎士さんのエピソード。
短編に使えるんじゃないですか?
ミサト
ああっ、騎士ランスロットが囚われたお姫様を救い出すために
単身、ドラゴンがいるダンジョンに行くシーンだろ。
ゲバマン
それはいいゲバ。
長編へのモチベーションを維持するためにも、
いつか作りたい長編の一部を外伝のような形にして、
短編にしてみれば、いいケバ。
ミサト
へぇー、それなら、ボクが作ったシナリオも活かせそうだね
リンカ
短編の作り方も、色々あるんですね!

初回の制作は短編を意識しよう


いざ作品を作ろうとなると、今回のように壮大な作品を
イメージしてしまうものです。

ですが、あまりにも最初に壮大な設定で始めてしまうと、
途中でわからないことなどが起きてしまう可能性も高く、
制作が続かなくなってしまう可能性があります。

まずは短編から始め、ツクールの仕様などを試していきながら
短い作品を作っていくといいでしょう。

作品を一つでも完成することができれば、
自信にもつながります。

ゲバマン
作っていくうちに新しい発見もあるゲバー!
短編を通してスキルを高めれば、2作品目以降も
制作スキルが高まる分、効率的に着手できるゲバ。
ミサト
最初は何ができるのかもわからないから、何ができて
何ができないのかも把握できそう……。
リンカ
少しずつ力を得ていく感じですね!
なんか、スポーツやRPGの冒険と似てますね!

短編にも色々な種類がある


とはいえ、短編をいざ作ろうと思っても、
シナリオが思いつかない! どんな作品にするか思いつかない!
そんな問題にぶつかってしまうことがあります。

そういった場合は、いつか作りたいと思っていたシナリオを
アレンジしたり、そのシナリオの一部に焦点を当ててみると
大まかな構成が作りやすい場合もあります。

特に、『ずっと温めてきたシナリオ』がある場合は、
キャラクターなどの設定も固まっていることも多く、
演出や会話を作成する時に、作りやすかったりします。

また、技やアイテムといったものを将来的に流用したり
することもできるだめ、モチベーションを維持しながら
次回作以降の作品を煮詰めていくことにも繋がるかもしれません。

ミサト
短編だから、武器とかは3種類ぐらいかなぁ……。
かっこいい名前の最強武器ができたから、
いつか作る本編でも使っていきたいな。
リンカ
先輩、このお姫様キャラも素敵ですね。
いつかお姫様が活躍する姿も見てみたいな。
ゲバマン
短編を公開することで、
シリーズファンの獲得にも繋げることが
できることもあるゲバよ。

その日の下校時間……

ミサト
できたー。
リンカ
10ページぐらいにまとまりましたね!
ミサト
うん、元々、頭の中では
キャラクターイメージもあったから、スムーズにできたよ。
ありがとう、ゲバくん。
ゲバマン
ゲバくん?
ミサト
さすがに変態くんって呼び続けるのは悪いだろう。
ゲバマンって言ってたから、
ゲバくんでいいかなーと思って。
ゲバマン
ゲバくん……。
ゲバマン
な、なかなかいい響きゲバね……。
ミサト
ゲバくん?
ゲバマン
……♪♪♪
リンカ
な、なんかニヤけてますよ。気持ち悪い。
ミサト
ははは、リンカは厳しいなぁ。
じゃあ、今日はもう下校時間だから帰るね。
リンカ
明日から、実際にツクールに入れていくんですね!
楽しみっ!
ミサト
じゃあね、ゲバくん。
ゲバマン
ゲバくん……ドキッ……。

ゲバマン
っ、俺としたことが。ときめいてしまってゲバ!
ゲーバゲバ、小娘たちよ、我が策略にハマったゲバ。
完成したシナリオを燃やしてやるゲバ……&nbsp。

ゲバマン
あれ。いないゲバ……しまったゲバーっー!

誰もいない夜中の校舎で叫ぶ声が響く中。
津久学園ゲーム製作部の処女作『ランスロットの冒険』のシナリオが
できあがったのだ。

津久学園ゲーム製作部の奮闘はまだまだ続く・・・

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