イベントレポート | ニコニコ自作ゲームフェス2018 ゲームクリエイターズ勉強会

2017年11月3日に東銀座にあるドワンゴセミナールームで自作ゲーム制作者向けの勉強会「ニコニコ自作ゲームフェス2018 ゲームクリエイターズ勉強会」が開催されました。

ニコニコ自作ゲームフェス2018 ゲームクリエイターズ勉強会

前半はフリーダムウォーズやゴッドイーターシリーズ一方でボカロPとしても活躍されている保井俊之氏。ウディタ・Unityのフリーゲームでそれぞれ活躍されているらむらむ氏、ところにょり氏。

後半はフリゲの実況などを行っているカモ君氏、KADA氏の実況者サイドでのフリーゲーム実況に関するお話とアツマール運営さん主導のワークショップが行われました。

去年の自作ゲームフェス勉強会に引き続いて参加してきましたが、去年とは大きく内容も変化し、方向性とかも大きく変わっていた印象がありましたので、昨年同様にやった内容や感想などをご紹介していこうと思います。参加したけどできなかったよーという方や、イベント企画を検討されている方などの参考になれば幸いです。

ニコニコ自作ゲームフェス2018 ゲームクリエイターズ勉強会


ニコニコ自作ゲームフェス2018 ゲームクリエイターズ勉強会は様々なフリーゲームを投稿・プレイすることができるフリーゲーム配信サイト・RPGアツマールさんなどが手動で一般参加募集されていたゲームクリエイター向けの勉強会です。

ゲーム制作に役立つ方々の講演と簡単なワークショップが一体になった半日のイベントで、東銀座にあるドワンゴさんのセミナールームで開催されました。


▲開催場所のビル写真


▲開催場所だった13階には自作ゲームフェスの紙付きで道案内

参加枠の募集は40名ということでしたが、上記の通り増枠したようで50名以上の方々が参加されていました。

当日は利用している制作ツールや公開本数等に関するアンケートが実施&読み上げされており、読み上げられていたのを聞いていた感じだとややウディタで制作されていた方が気持ち多いかな?という印象。次いでツクール、Unity、スマホアプリという感じで、アナログゲーム制作の方という人もいました。制作本数は3~5本程度の方が多い印象で、数十本、まだ未公開という方も。200作品という方もいました。

ツクール系の勉強会と比較すると、参加されていたクリエイターさんも多岐にわたっていた印象です。

保井俊之氏の講演


実際の講演について、ご紹介していきます。

まず最初に行われたのがゴッドイーターシリーズ、フリーダムウォーズ、ボカロPとしての活躍も有名な保井俊之氏です。

参照:保井俊之氏のTwitter
参照:ピクシブ百科事典 保井俊之氏のページ

講演については、ボカロPとしても有名な保井俊之氏のゲームやボカロP経験を通じた「ゲームを創る力を上げるには」というお話。数を作ることなどの重要性をあげており、自身の経験の中では、ミニゲームを1年間で50個ぐらい作った時の経験が「アイデア勝負」や「2つのルールの組み合わせ」などをゲームデザイン面でその先につながることが多く、どうやって作っていったらいいのか組み立てながら作っていくことなどが得れたなどをお話されていました。

また、ゲーム制作については色々と大切な要素があるからこそ、整理していくことが重要。ビデオゲームの構成要素は互換を刺激する「インパクト」とプレイしたからこそわかる「コンテンツ」の要素なので、色々なものを作る力が上がることでゲームを作る力が上がるというお話をされていました。

そのためには「論理的な構築(ロジック)」と「エモーション(感情)」の構築が重要で、この「感情」と「論理」を網羅できる動画制作(ボカロ動画など)がおすすめだそうです。ハロープラネットの動画なども紹介しつつ、要素の重要性をご紹介されていました。

また、「定量調査」と「定性調査」の二種類の調査などを通じてフィードバックの重要性などもお話されていました。おすすめされていた動画制作では、ニコニコのコメント要素を通じて定量調査と定性調査の中間のようなものも手に入るので、そういう点でもおすすめのようなことを話されていました。

なお、調査結果での指摘などは必ず受け入れるのではなく、自分の創作に役立てる視点での取り込みでやることをおすすめされていました。参加者からの質問では「聞くコメント」と「流すコメント」については、衛生的にいいもの・悪いもの。痛いと思うけど大事に感じたところ。ずれている点などはコメント量を見て判断するといいなどとおっしゃっていました。

そのほか、創作モチベを上げる方法の質問では「色々なものに振れる」「(違う傾向のものや気分に合わせて)ほかのものを作る」といった回答。長くプレイしてもらうゲーム作りでは全体設計を作って同人間の感情を揺さぶっていくのかを考えて、それを踏まえてどのくらいの時間でどう仕掛けるかなどを考えていくこと。ほかにもゴッドイーターの感情面や論理を意識した点などをご説明されていました。

らむらむ氏とところにょり氏の講演


フリーゲーム制作者で有名ならむらむ氏とところにょり氏の講演では、お二人それぞれが自作品などを踏まえて「ゲーム制作においてアガる瞬間とは」を各々が講演されていました。

らむらむ氏は自作品の「悠遠物語」を踏まえたお話。アガル瞬間を分析していくと何が起きているのか?→良い感情が溢れたその瞬間と踏まえ、良い感情につながるのは感動・笑い、熱血、好奇心などがあげられるとのこと。また、逃れた時に安心感や好奇心といった良い感情に「恐怖」とうった真逆からのアプローチがあることも感情の面白いところともおっしゃっていました。

意図的に感情を動かす具体的な方法では、ツンデレを事例にギャップ作戦をあげ、下がってからあげる、悪い感情が良い感情を強く意識させることなどをご説明されていました。

らむらむ氏の講演&質疑後はところにょり氏の講演。ところにょり氏も「ゲーム制作においてアガる瞬間とは」という講演内容の元、ところにょり氏が制作に携わったきっかけやそれぞれの作品がどういった経緯などを踏まえて制作されていたかなどをお話されていました。

参照: ところにょり氏作品(Android)
参照: ところにょり氏の「からっぽのいえ」(itunes)

繰り返しであることを繰り返しでないように見せることがゲームの本質と考えているそうで、「ひとたがやし」では敵キャラの過去を活用することでそれを意識させているのだとのこと。広告モデルの収益ではアプリの収益性を高めるためにはどれだけ滞在してもらうことが重要であり、「ひとたがやし」ではその点が足りなかったことなどを踏まえ、「ひとりぼっち惑星」ではその点を意識したとのことでした。

特に「ひとりぼっち惑星」のお話が個人的には興味深く、一人制作であるため、大企業のスマホゲーのような更新はできない。それゆえメッセージが別のユーザーに送られるような仕掛けを導入し、終わりのないコンテンツを目指しつつ、ユーザー同士でコンテンツあげるような仕組みを目指していたとのことでした。

一方、近年の広告モデルでは限界も感じているらしく、ストアの傾向などから買い切りモデルなども検討しているというお話も。同じような雰囲気でゲーム制作を続けている理由としてはゲームの雰囲気を統一することで同じ作者であるということを意識させ、ゲームがダメでも作家としてやっていけるということを個人でやるときには意識されているといったお話をされていました。

ゲーム実況ワークショップ:カモ君氏、KADA氏


休憩を挟んだ後、フリゲ実況を多数されている カモ君氏、KADA氏のお二人による実況サイドのお話が行われました。

参照: カモ君氏のTwitter
参照: KADA氏のTwitter

まずはおすすめゲーム実況として、いくつかの動画を紹介し、その動画を事例にフリゲ実況者のやりやすいゲームの特徴などをご紹介されていました。

一例としてあげてた一つが幕末志士さんの「爆笑男」。この動画では盛り上げ方のテクニックやツッコミポイントのなどで実況しやすい要素があるなどをご紹介されていました。それらを踏まえ、ツッコミどころや遊ぶ余地、あえてスキがあると自分の感情を入れやすいフリゲということなどをご紹介されていました。

2つ目にゆめにっきの動画(←動画元がわからなかったので未掲載)の要素などを説明された後、3つ目にはガッチマンさんのインフレクエストの実況を取り上げられていました。この作品では凄いレベルが上がるような要素や敵キャラの可愛さを取り上げられていました。戦闘をカットする実況者さんも多いのですが敵の種類が多かったり戦闘のテンポが良いと実況者さんもプレイしやすいことなどをあげていました。

この他にも複数の動画をご紹介されて、実況者的には2~3時間ぐらいの短編・中編がやりやすい、冒頭から見せ場がある作品などもご紹介されました。また、撮って没になるようなゲームなどもあるそうです。

その後は「実際にフリゲを選んで見るポイント」としてご自身の選定方法などを元にそれぞれがお話。プレイ時間やサムネイル(スクショ)、タイトル、説明文などをあげていました。概要欄などでは実況ガイドラインなども確認されているそうです。

「魔法少女やめてもいいですか?」を元にしたお話では、アクション要素のあるスクショがあるために動きが取れると予想できることなど重要な要素のスクショについても具体的なお話などがありました。また、動画という手前コマを動かす時に時間がかかるシミュレーションゲームや、それぞれが苦手としているようなゲームはやめる傾向があること。ランキングよりも新着や更新を見ていることが多く、更新とかがこまめだと手を入れている印象があるとのことをおっしゃっていました。質疑では曲についてや動きを説明しづらい音ゲーや、声がかぶって聞き取りにくい上にしゃべっている声にも悪いと感じることがあるゆえにフルボイスの作品なども実況しにくい作品としてあげられていました。

この他には実際にアツマール上からフリゲを選定して短い時間実況する様子を生で見れたり、質疑ではフリゲを実況する理由としてはキャプチャーしやすさやお金がかからない(機材が少なくてもできる)ことをあげられていました。またフリゲとかとは思えない作品がある場合とかは個人的にやっていることが多いそうです。

ゲーム企画に手を入れる体験フィールドワーク


カモ君氏、KADA氏の講演後はチームに分かれて企画のフィールドワークとチーム内でのプレイ&フィードバックが行われました。

企画のフィールドワークでは、4人~5人で1班になり、上記のような紙が配布。まず5分間を掛けて、一人ひとりゲームの企画をこの髪の一番上に書いていきます。その後、班の中でそれぞれが企画を発表していき、隣の人に渡していきます。

隣の人は、3分かけて元の人が建てた企画をフラッシュバック。もっと楽しく慣れそうなポイントなどがあれば追加させていきます。そして班内で発表し、また隣の人に渡してその人がフラッシュバックし、最終的なゲーム案を決定します。

自分が最初建てた企画だと、お二人によって最終的にこんな感じに変化していきました。オタク文化を使った陣取りゲーですよーというところから始まって、一人目のフラッシュバックで分野が超えていくような仕組み、二人目のフラッシュバックで日本だけではなく世界中を舞台に~みたいな感じに変化しました。

2人目のフラッシュバック&解説が終わったら、各班で代表する企画を多数決で決定していきます。


▲自分が入っていたJ班の各企画。班の方々に許可頂いたので掲載(掲載許可ありがとうございます!)

多数決で決定した班の最終的な企画をそれぞれの班の代表者(2人目にフラッシュバックした人)が発表し、カモ君氏、KADA氏が各企画に軽くコメントという感じでフィールドワーク終了でした。

懇親会で聞いた感じだと、人の企画を手入れする機会って無いよね!みたいなことから実施されたフィールドワークだったみたいです。個人的には色々な企画に触れることで自分の知らない企画に触れたことや、自分の企画にはこんな可能性があったのか!と思えるようなことが多く、とても勉強になる企画でした。

そして最後は班内でそれぞれが5分ずつプレイしフィールドワーク。自分の班は長編の方が多かったり、時間が全体的に押していてあたふた感があったり、満足に感想伝えられなかった感じも……。でも、自分は前々から薄々思っていた時間の長さとかのところがちょっとテンポ悪さにつながってるなぁと再認識できました、他の班のお話を聞いた感じだと、うまく回っていた班もいたみたいだったので、やや難点があったものの、こちらも短い時間で学びの多い企画でした。

まとめ&おまけ


以上がイベントの流れになリ、この後には運営さんが主催の懇親会が2時間半ほど。懇親会の後は二次会に18人ほどが参加。運営さんや実況者さんなども交えたお話やUnity・ツクール・ウディタとツールを越えた情報交換などもできました。

講演の内容などを軽くまとめてみました、聞いた話を自分なりに理解したメモを使って作成していますので、もしかすると講師の方々のおっしゃりたかったことなどと違う感じになっちゃっているかもしれません。

今回の勉強会では、ハッシュタグ「#自作ゲームフェス勉強会」でのつぶやきが推奨されていて、できればブログとか書いてね!とも告知されていたので、きっと色々な方がこのタグ使って記事書いてくれるはずです。

他の記事なども合わせて確認して頂ければと思います。

昨年のホラゲ制作と比較すると、制作面では直接的な制作・演出技術というよりかは、色々な作者さんの経験を通じた物が多く、フリゲだけではなく同人とかインディーズゲームとかでも活用できそうなお話が多く感じました。

また、フリゲ実況者さん視点のお話などはあまり聞く機会がなく、とても貴重な感じ。以前、仕事の関係で有名なユーチューバーさんの講演も聞いたことがあったのですが、ぜんぜん違うなぁ……と思ったりもしました。自分は感想とかも書いてたりするので、なるほどなぁ……と感じることやすごい熱なども感じました。

ちなみに、カモ君氏が自作ゲームフェス勉強会の直後に動画などもアップされています。期間限定でタイムシフトチェックできるみたいなので、実況者視点とか、どんなことをやっていたのか気になる方はチェックされると面白いんじゃないかなぁと思います。

参照: 【無料枠】『自作ゲームフェス勉強会』楽しんできました(カモ君)

懇親会とかで色々と裏のお話なども聞けて、とても充実したイベントでした。

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