
SRPGギアを新規プロジェクトで動かすための最低限必要なステージ用のマップを作成していきます。
このページでは、「SRPGギア初心者向け解説 | 準備編」の手順に従って必要なプラグインの有効化・画像を導入したあと、本ページの工程を経て実際に新規プロジェクトでSRPG戦闘を展開させるところまで作成してみます。
今回は新規プロジェクトを作成している状態から始める形で解説をしていきます。次の条件で進めていきます。
1.マップは「Map001」が「タイルセット:フィールド」「幅:17」「高さ:13」の設定でのみ作成されている
2.データベースを初期のRPGツクールMZの新規プロジェクトから変更していない
3.「SRPGギア初心者向け解説-準備編-」に従い、必要プラグインと画像を移行済み
初期プロジェクト前提でキャラ名なども記載していくため、新規プロジェクトから多く変更していると混乱してしまう可能性があります。プラグインに慣れていない方は必ず新規プロジェクトで導入挑戦を行い、理解してから作成済みのプロジェクトへ反映していきましょう。
SRPGギアでは、戦闘用のマップとイベント用のマップを作ることが一般的です。そのため、テストでも2つのマップを用意していきます。以下の手順でMAP001とMAP002を作っておきます。
1. MAP001を右クリック→編集を押し、タイルセットを外観に変える
2. マップツリーで右クリック→新規作成を押し、「タイルセット:外観」「幅:17」「高さ:13」で新規マップを作成
3.両マップとも草地(タイルセットAの一番左列、上から3番目)で塗りつぶす
MAP001とMAP002が17✕13で外観タイル、一面が草原のように見えるマップで作成しておきます。
まずは一面歩行できるタイルを配置することで、とにかく動かすことところまで作成しましょう。初期位置はMAP001の中央(8,6)付近にしておきます。テストプレーをしてみましょう。特に何も起こらず、平原を操作できる状態になることを確認して下さい。
画像のようにFailed to loadのエラーが出てしまった場合、必要な画像が不足している状態のためエラーが起きています。このエラーは「●●/」は●●という名前のフォルダ、△△.pngは△△という画像がないということを指します。今回であれば、imgフォルダ内のCharactersフォルダ内にある!srpg_set_type1.pngという画像が見つからないというエラーになります。
上記画像のエラーは、「SRPGギアに必要な画像をコピーしていない」ために起こりました。「SRPGギアを新規プロジェクトで動かしてみよう!-準備編-」に記載の「必要な画像をプロジェクトに入れていく」を確認し、SRPGギアのデータから画像をコピーすることで解決します。
では、準備もできたところで実際にSRPGとして動かしていく設定を作っていきましょう。
まずはSRPGモードに切り替えるイベントを作ってみます。MAP001の中央上付近(8,4)に、人間のキャラクター画像を設定したイベントを作成します。動作を確認しやすいように、トリガーは決定キーにしておきます。最終的にこのイベントに話しかけると、SRPGの戦闘が始まるようにします。
次に、実行内容を作成していきます。まずはイベントコマンド「場所移動」を入れます。場所を直接指定にし、「MAP002」の「8,6」付近を設定してOKでコマンドを確定します。
そして、場所移動コマンドの次にイベントコマンド「プラグインコマンド」を入れていきます。プラグイン名は「SRPG_core_MZ」を選択します。すると、コマンド名が「SRPG戦闘の開始/終了」に変化します。「SRPG戦闘の開始/終了」であることを確認し、引数の名前が「開始/終了の切り替え」担っている項目をダブルクリックし、「SRPG戦闘の開始」を選択してOK、さらにプラグインコマンドもOKを押して確定します。
この設定により、場所移動した先のMAP002でSRPG戦闘が展開されていきます。実際にテストプレイしてみましょう。
配置したキャラクターに話しかけると、場所移動した先で出撃用のメニュー画面が表示されるはずです。(ただし、実際には参加人数が0人で戦闘開始を押しても何もできない状態になるかと思います)
ここでは、場所移動+プラグインコマンドの「SRPG戦闘の開始/終了」によって通常のツクール的なRPGの動きモードからSRPG戦闘モードに切り替えられると覚えて下さい。
早くユニットが出撃できるようにしたい!と思うかもしれませんが、その前にMAP002に必要な管理イベントを6つ作成してみます。
SRPGギアでは、SRPGの戦闘が起こるマップにターン処理用や判定処理に使うイベントを配置する必要があります。以降はMAP002にイベントを作成していきます。敵が配置されない場所に作成していく必要がありるので、まずはMAP002のマップ左上から1マスずつ右(1,1~6,1)へイベントを1つずつ作成していきます。
まず初めに、戦闘開始時に起こるイベントを作ります。マップの一番左上(1,1)でイベントを新規作成します。名前は「戦闘開始時のイベント」など命名しておくと後々確認しやすくなります。
次に、名前の隣りにあるメモ項目に「<type:battleStart>」と半角で入力を行います。SRPGギアでは、イベントのメモに特定の記述を行うことで、指定タイミングに起こるイベントになります。今回記述した「<type:battleStart>」のイベントはSRPG戦闘が開始されたときに1度起こるイベントとなっており、戦闘開始時の会話や勝敗条件を表示するようなイベントとなります。
試しに文章の表示を入れておきましょう。実行内容に文章の表示コマンドで「戦闘開始!」と記入しておきましょう。
次に、味方ターンが開始するときに自動で起こるイベントを作ります。1つ目のイベントの隣(2.1)に新しくイベントを作成し、名前をわかりやすく「味方ターン開始時のイベント」と命名しておきます。(こちらも自分でわかりやすい名前で構いません)
そしてメモ項目に「<type:actorTurn>」と入れておきます。これでこのイベントは味方ターンに実行されるようになります。試しに、SRPGギアに収録されているピクチャを使ってターンの表示を行ってみましょう。
ピクチャの表示コマンドを選び、番号1、画像はPlayerTurn.png、位置は原点:中央にして簡単設定で画面中央付近配置してXとYの座標を決めてOKで確定します。(画像ではX:408,Y288を設定)
そして次に、ピクチャの移動コマンドを設定します。ピクチャ番号を1、位置は中央、直接指定を選び、XとYにピクチャの表示と同じ座標を入れます。(今回であればピクチャの表示にX:408,Y288を設定しているので、X:408,Y288と入力します)
さらに、合成項目にある不透明度を0、時間を60フレームに設定。完了までウェイトを入れてOKで確定します。
最後に、ピクチャの消去コマンドを番号1で入れておきます。
これで簡易的な表示ができました!実行内容を右クリック→全選択した状態で、テストを行います。プレイヤーターンの表示が中央に表記され、消えていくような演出ができたかと思います!
▲戦闘開始を選ぶと、永遠とPlayerTurnの画像が一瞬表示され続ける
敵ターン開始時に自動で起こるイベントも作成します。敵ターンでも味方ターン同様の演出で敵のターン表示も行うため、「味方ターン開始時のイベント」のイベント(イベント2番)をコピーして隣(3.1)に貼り付けて改造しながら作成しましょう。
貼り付けたイベントの名前を「敵ターン開始時のイベント」、メモに「<type:enemyTurn>」と記述します。さらに、実行内容に記入されている1つ目のピクチャの表示を右クリック→編集を選びます。ピクチャの表示に関する設定を修正できるので、画像を「Enemy Turn」に変更します。(ピクチャの移動・消去は変更しなくて構いません)
さらにその隣(4,1)でターン終了時に実行されるイベントも作っておきます。
新規イベントを作成し、名前を「ターン終了時のイベント」、メモに「<type:turnEnd>」と記入しておきます。実行内容は空欄のままで構いません。
5つ目のイベントとしてバトル開始時に実行されるイベントも隣(5.1)に作成していきます。
こちらも新規イベントで作成し、名前を「戦闘前イベント」、メモに「<type:beforeBattle>」と記述しておきます。このイベントも実行内容は不要です。
最後に、(6,1)の座標に新しいイベントを作成します。
名前を「行動終了時イベント」、メモに「<type:afterAction>」と記入しましょう。このイベントも今は実行内容記述無しで構いません。
ここまで、6つの管理イベントを作成しました。イベントの名前はなんでも構いませんが、メモに特定の記述を行うと、SRPG戦闘時に特定のタイミングで自動的に実行されるイベントとなり、勝敗の判定や演出に活用していきます。例えば、味方が全滅しているかの判定を作りたいときには、「行動終了時イベント」で味方がマップ内に一人でも生存しているかどうかを判定していくみたいな感じです!(勝敗の判定はステージ編で詳しく解説します)
まずは、SRPGギアでは各マップ上に6つの管理系イベントを配置するイメージで覚えておきましょう。
おまたせしました、次は味方キャラを出撃できるようにしていきましょう。
今回は新規プロジェクトの初期パーティに設定された「リード」「ミシェル」「ケイシー」「エリオット」のうち、リードは必ず出撃し、残り3人の中から2人を出撃できるよう、3つのイベントを作成します。
まず、必ず出撃するリードの設定を作ります。MAP002の中央右側、(10.6)座標あたりに新しくイベントを作成します。
わかりやすく名前は「リード」と記述しておきましょう。そしてメモに「<type:actor><id:1>」という2つの記述をしましょう。この記述はそれぞれ意味があり、「<type:actor>」は「アクター(味方陣営)」であること、「<id:1>」は「アクター0001(データベースのアクター1番)」であることを示しています。
つまり、このイベントの場所に、リード(アクター1番)を味方として配置してねというイベントになります。いわゆる1番のアクターが強制出撃するような形にできます。
では、次に残る3人から2人が出撃できるようなイベントを作ります。
まずリードを配置するイベントの右下、(11,7)の座標に新しくイベントを作成します。
イベントの名前は「味方自由枠」などわかりやすく命名しておきます。メモ欄にはに「<type:actor><id:0>」と記述しましょう。
リードと似ている記述になりますが、「<id:0>」という、idの後の数字を0にして入力しています。SRPGギアでは、アクター陣営のキャラをid0で出撃するように設定すると、パーティから選んだキャラ1人を出撃させるという設定になります。つまり、先頭のリードくんは強制出撃なので、リードくん以外の1人をこのマスに配置できるようになります。
さらに、(11,7)に作成したイベントをコピーして座標(11.5)にも貼り付けしましょう。「<type:actor><id:0>」を設定したイベントがマップ上に2つ作成されました。すると、「<type:actor><id:0>」のイベントが2つあるので、パーティから二人までのキャラクターがパーティから出撃できるという設定になります。
もし、もっとパーティメンバーから出撃できるようにしたい場合は、同じように作成済みの「<type:actor><id:0>」をメモに記述したイベントをマップ上に出撃させたいキャラクター分、コピー&貼付けして配置しましょう。
ここまで作成できたら、実際にテストプレイしてみましょう。
味方を配置したことで、実際にユニットの選択や戦闘開始ができるはずです。戦闘開始をすると、「味方ターン開始時のイベント」(2.1に配置のイベント)で設定したPlayerturnの画像演出が入ったあと、実際にキャラクターが動かせるはずです。さらに、全員を動かし終えると、「敵ターン開始時のイベント」(3.1に配置のイベント)で設定したEnemyturnの画像演出が入ります。敵がいないのですぐに味方ターンになり、再度味方ターン開始の演出後にキャラクターが動かせるはずです。
さて、実際にキャラクターを動かしてみると、指定マスへの移動がゆっくりだと思いませんか?このままだと少し遅すぎるので、配置した味方キャラクターの移動速度を調整しましょう。
移動する速度は、各ユニットのイベントの「自律移動」項目にある「移動速度」で決まっていきます。RPGでは村人などモブが動くときの速度を決める項目になりますが、SRPGギアの場合はこの項目がそのユニットの移動時の速度になります。
デフォルトだと「3:1/.2倍速」となっており、かなり遅い速度になっています。「リード」や「味方自由枠」として名付けたイベントそれぞれの移動速度を「4:標準」か「5:2倍速」に変えましょう。今回の講座では、テンポよく進むことを意識して「5:2倍速」で設定します。以降、ユニットを作るイベントでは移動速度を設定するのも忘れないようにしましょう。
味方も配置できるようになり、SRPGっぽくなってきました。最後に敵キャラクターを配置してみましょう。
SRPGギアでは、データベースのモンスター項目で敵の能力を作成し、メモに指定した記述をしたイベントを配置することでモンスターをステージに配置していきます。この講座では、初期プロジェクトに搭載されたゴブリン(初期データベースの0001の敵)を配置していきます。
MAP002の座標(6,6)に新しくイベントを作成します。名前にはゴブリンとわかりやすく名付けておき、メモに「<type:enemy><id:1>」と記入しましょう。
この記述のもそれぞれ意味があります。「<type:enemy>」は「エネミー(敵陣営)」であること、「<id:1>」は「敵の0001(データベースの敵キャラ1番)」であることを示しています。「<id:1>」のときはリードのときにも記載しましたが、「<type:enemy>」の記述といっしょに使うことで、敵の1番という扱いにすることができます。
これで完成です!敵もキャラが動く速度は自律移動の設定が反映されるので、イベントエディターの自律移動項目の移動速度を「4:標準」か「5:2倍速」に変えておくとよいでしょう。
モンスターをたくさん出したい場合や、1番以外のモンスターを出す方法も解説します。
まず、ゴブリン(敵0001)をたくさん出したい場合は、同じように「<type:enemy><id:1>」を記述したイベントを登場させたい数だけマップに配置すればいいだけです。作成したイベントをコピーして配置していきましょう。
1番以外の敵を配置したい場合は、「<type:enemy><id:1>」の「<id:1>」部分の数字を敵キャラのID番号に変更しましょう。例えばデータベースの敵キャラ0002の敵を配置したいのであれば「<type:enemy><id:2>」と記述したイベントを配置すればそのイベントが2番の敵として配置されます。
これで敵配置のイベントの設定は完了ですが、モンスター側のSRPGギアに使う画像の設定が不足しており、SRPG戦闘を行おうとすると「TypeError」表記のエラーが出てしまいます。せっかくですので、敵キャラの容姿に関連する設定も行いましょう。
ツールからデータベースを開き、敵キャラの項目を選択。今回は配置した0001ゴブリンに画像の設定を行います。デフォルト素材にはゴブリンの顔グラや歩行グラがないため、とりあえずMonsterにいるゾンビをゴブリンの歩行グラとして表示することを目指します。
0001ゴブリンのメモに「<characterName:Monster>」と記述します。この記述は、このモンスターをSRPGで表示するときに使う、歩行グラフィックのファイル名を記入する設定です。
ゾンビの画像は、イベントなどの画像項目で「Monster」というファイル名で指定することで出てくるため、今回はMonsterを記述しています。他のファイルを使いたい場合は、そのファイル名を半角で入力しましょう。
そして、「<characterName:Monster>」を記述したメモを改行して、2行目に「<characterIndex:1>」と記述しましょう。
この記述は、先指定したファイルのどの位置にある歩行グラを選ぶかという設定になります。ゾンビはモンスター画像の1行目2列目にいます。この記述では、上段左から横に0,1,2,3、下段左側から4,5,6,7という数字で指定します。ゾンビは上の段の左から2番目なので、1の位置。「<characterIndex:1>」と数字を1にすることで、上段の左から2つ目の位置にある歩行グラをこの敵として表示するという設定になります。
最終的にこのような記述になりました!今回はこの設定だけですが、データベースの敵キャラのメモに特殊な記述をすると、他にも敵の顔グラを出せたり、特殊な行動や移動力を設定することもできます。SRPG_core_MZのプラグインヘルプに色々な設定に関する記述があるため、気になる方はプラグイン管理画面からSRPG_core_MZのヘルプを眺めてみましょう。
ここまで、管理イベントと味方キャラ、敵キャラを配置してみました。最後にテストプレイを行ってみましょう。
開始マップから、モブキャラに話しかけるとSRPG戦闘が開始。キャラクターを選んで戦闘を開始すると、実際にキャラが動かせるようになりました。リードがゴブリンに隣接すれば、攻撃できるはずです。また、味方全員が動き終わると、敵キャラのターンになって敵が動き始めるはずです。
このように、SRPGエディタでは各ステージ用のマップに6つの管理用イベントを配置。味方を配置したいマスに「「<type:enemy><id:X>」のイベント、敵を配置したいマスに「<type:enemy><id:X>」をメモ記入したイベントを配置します。(Xはそれぞれのidを半角で入力します)
実際に動けるようになりましたが、敵を倒しても戦闘は終わらないはずです。また、全部のキャラの移動力は同じだし、スキルも全部射程1だし、勝利条件など選べなかったりと、やりたいことができないという方もいるかも知れません。
詳細までステージを作ることが気になる方もいるかも知れませんが、ベース自体は完成しましたので、色々テストもできるようになりました。次の項目「キャラ作成編」では、SRPGギア用の様々なキャラクター設定の基礎を先に解説していきます。
RPG Maker WITHはNintendo Switch向けソフトです。
パッケージ版を探す場合は、色々なサイトを見て値段チェックするのがおすすめです!